「Next Circle」藤田信宏ブログ

役者 藤田信宏のブログ。公演の記事や予定。そして日常を書き込みます。
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藤田信宏プロフィール
1976年1月22日生まれ  宮城県気仙沼市弁天町出身  南気仙沼小学校〜気仙沼中学校〜気仙沼高等学校〜大東文化大学文学部英米文学科卒業 幼いころからジャッキー・チェンに憧れ、太極拳を7歳から始める。20歳で倉田アクションクラブの門をたたき、ジャッキーと何度も共演している倉田保昭氏のもとで芸能活動を開始。4年後芸能プロを移籍し、その事務所に所属中、美輪明宏氏の舞台のオーディションに合格し、共演。俳優の厳しさ素晴らしさなど、大きな影響を受ける。 2004年、ラストサムライのオーディションにバトルコアとして合格。3ヶ月間ニュージーランドにて撮影に参加。トム・クルーズや渡辺謙らと毎日現場をともにする。 2006年、現航空自衛隊勤務の久保泰氏に、念願だった特攻隊の脚本「蒼空〜空どこまでも蒼く〜」を書いてもらい舞台化。反響を呼ぶ。連日大入り大盛況、再演を望む声は今も絶えない。 現在は竜小太郎公演や早乙女太一公演などにコンスタントに出演し、客演として小劇場系の舞台にも出演。「抗うものたち」「魔界の都」「ストラルドブラグ〜魔神邂逅〜」はDVDが一般発売されていて、まもなく今年2月に主演で行った「ワンダーランド」もDVD化される。
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待ちの1週間
特殊メイクをしても撮影無しという日を3日過ぎ、4日目。

いつもの特殊メイクトラックに入ると、

「あるかないかが分からないので、今日はとりあえずメイクせずに現場からの連絡を待ちましょう」

という担当者からの言葉。

「先に撮影するかを確定してもらってからこちらに連絡する様にと頼んでおいたから」

との事。

特殊メイクをせずに、ただ待機という考えられない状況になりました(笑)

いつ声がかかるかも分からないので、トイレ以外はトラックから出ることも許されない訳で。

ずっとトラックにこもって4日目。

昼が過ぎ、夕方に・・・。


「撮影無し」

という連絡が。

やっぱりか・・・


ここまで来ると、もう、嫌でも予想せざるをえないというか(笑)

担当者と二人で、

「きっと明日も無いだろう」

という気持ちの中で

「また明日も宜しくお願いします」

と御挨拶。


そしてその明日が私の「ラストサムライ」撮影のクランクアップの日。
そう、撮影最終日。

何とか撮影して欲しいと思いながら帰途に着きました。



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待ちの1週間
今日でお腹の特殊メイク3日目。

今日こそは撮影だろう!

と気合いを入れて特殊メイクが始まります。

更にメイクのスピードが上がり、3時間ちょっとで終わりました。

担当者とお互いに、

「今日こそは・・・」

という願望の気持ちを共有しています。


13:00を過ぎても・・・

14:00を過ぎても・・・

15:00を過ぎても・・・

連絡が来ない。

16:00が過ぎても・・・

二人で顔を見合わせて、


「まさか今日も無いのではないか?」

という雰囲気に。

言葉に出すのも憚られるので、目だけで(笑)

そして17:00。

「今日の撮影は無し」

という連絡が。

言葉が出ません。


二人でため息(笑)


「また明日会いましょうね」

そう話してその日の仕事も終わりました。


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待ちの1週間
次の日、また特殊メイクトラックに行くと、

「ジャパニーズチャンピオン、ウェルカム!」

と担当者が大喜びで迎えてくれました。

イライジャ・ウッドも担当していたくらい世界的なアーチストなのに、なんて気さくな方なんだろうと思いながら、

「今日も宜しくお願いします」

と御挨拶。

またまた長時間のメイクに入ります。

前日やったせいか、担当者も要領を得ていて、4時間くらいで終わりました。

あとは出番を待つだけ。

相変わらず呼ばれないまま担当者との雑談に花が咲きます。

あれよあれよと夕方に。

「本日は撮影無し」

という連絡がまた来ました。


「え〜」

担当者も流石に2日続いた事で、自分の仕事が無駄に終わったことに落胆しています。

そりゃそうです。
物凄い繊細な仕事ですから。

「また明日会いましょう」

と御挨拶してその日の仕事も終わりました。


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待ちの1週間
特殊メイクでのカットが終わった次の日、

また違う特殊メイクで撮影してもらうので他の人とは別行動でお願いします、

との事。

上手くやれた証拠なんだろうなと一安心。

さあ、次はどんなメイクだろう?とワクワクです。

例のごとく、朝食を食べて特殊メイクのトラックへ。


行くと、私の担当はまた同じ方で、

「ウェルカム〜」

と歓迎してくれました。

この日のメイクはお腹を斬られてそこから腸が飛び出ているメイク。

これまた相当な時間がかかりました。

だいたい5時間はかかったのではないでしょうか。

少しずつ少しずつ出来ていくメイク。

リアリティを極めたリアル。
その技術に驚くばかりです。

担当の方とお話すると、「ロードオブザリング」の時に、主演のイライジャ・ウッドの特殊メイクを担当していたそうで。

超一流の特殊メイクアーチストでした。

そんなお話をしている中でたまたま私が太極拳をやっている話をすると、

「タイチー!!アイラブイット!!」

とまさかの太極拳愛好者。

そこからはもう、太極拳の話がずっと続きます。

と言っても、太極拳の専門的な話は私が英語に変換できない為、なかなかスムーズには話が出来ないのですが。

なんとももどかしいものでした。


でも、ニュージーランドというはるか離れた国に来て、まさか太極拳の話で盛り上がれるとは。

メイクも終わり、ずっとお話をしていたら、

「今日は撮影無し」

との連絡。

担当者と二人で「しょうがないね〜」なんて話をしてメイク落としに入りました。

「明日は出番になるだろうから、また明日も太極拳の話をしましょうね!」

と担当者から見送られてその日の仕事は終わりました。


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特殊メイク
GRP_0399.PNG
「ラストサムライ」での最後の仕事は特殊メイクでの撮影カットでした。

頭に矢が刺さっている面白い画。

現場で急遽、明日から特殊メイクに入りますので宜しくお願いします、と言われて次の日現場に入ると、他の人たちとは違う扱いに。

朝現場に着いてご飯を食べたら、いつもの様に着替えに入らず、特殊メイク班のトラックへ。

そのままメイクに入って4時間(驚)

4時間、椅子に座ったままひたすらメイクをしてもらいます。
メイクを終えて車で撮影場所まで送ってもらったら、私のカット撮影の為の準備は万端。

迎え入れてもらう形でいつもの現場に入りました。

とにかく見た目のインパクトが絶大な姿。
だって頭に矢が刺さっている訳ですから(笑)

見る人はみんな驚いて「え!」という顔ででこっちを見るし、メイキングビデオのカメラマンが私を追いかけてついてくるしで、恥ずかしいやらなんやらで不思議な感じでした。


私のカット撮影の為のその時間。
これまで現場に通い続けた2ヶ月半とは全く違う環境でした。

現場のど真ん中に配置され、芝居の説明を受け、何度かのカメリハ。
カットは一瞬で短いですが、現場にいる600人ほどの関係者は全て私の芝居中心で動く。
そのカットだけを取れば私は主役な訳です。
感覚はこれまでと違って当たり前です。

立ち位置が変わるといつもと同じ撮影現場なのに、景色が違って見えるんだなぁと思ったものです。

それにしても、私を狙うカメラの数が凄い。
数えてみると、7台もある。

全方位からのカメラと、クレーンを使ったカメラ。

日本の撮影現場で、カメラ7台の現場なんて見たことも聞いたこともありません。

「こりゃすげえや」

と思わざるをえませんでした。


今までの2ヶ月半は、謙さんや真田さん、トムさんの回りで殺陣をやってきていた訳で、カメラはそちらを狙っているので、意識はそこまで強くはカメラに向きません。

でも、いざ自分が中心で立ってみると、景色がまるで変わりました。


これまで聞いてきた、

「ローリング」(カメラ回りましたの意)
「レディ」(よーいの意)
「アクション」

の声も、回りの迫力ある殺陣の姿も声も、
まるで違って聞こえてきます。

舞台で本番をやる時の様な感覚が体を包みました。

あぁ。
こういう撮影が毎日続くなら素晴らしいのになぁ。

そんな思いを抱きながら、NGを出すことも無く終わってしまいました。

私は撮影現場でほとんどNGを出した事がありません。

この時ばかりは、少しくらいNGを出しても良かったんじゃないか、なんて冗談を思ったりもします(笑)


無事に撮影も終えましたが、とにかくカメラが全方位から7台にも狙われていると、何をやっても撮られていない角度が無いので、ばれない角度を考えたりする事の労力はただの無駄。
頭に矢が刺さっている状態で元気に動いていても、もうそれはしょうがない訳です(笑)

普通はばれない角度を探して体の使い方を計算するのですが、7台ものカメラで全ての方向から狙われていると意味が無い訳です。
どれかのカメラには必ずばれる訳ですから。

諦めるしかない(笑)

でも、諦める事で、目の前の芝居に更に集中できる事に初めて気付きました。

これまで日本の現場では2台〜3台のカメラだったので、そのカメラとカメラの交差角を計算してばれない動きをする技術が必要とされました。

でも、そんな小さな領域から外れてしまって、どうやってもばれるんだから開き直るしかない、となるとばれを気にしてもしょうがなくなる訳です。

すると、とたんに動きの制限が無くなるので伸び伸びと動ける様になります。

「何をやっても考えても無駄なんだな。自分がやれる事にただひたすら集中する事しか出来ない」

という領域を経験できたのは非常に大切な事でした。


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また振り出しに戻る・・・
「ラストサムライ」でニュージーランドに滞在中、所属していた事務所が倒産する事が決まりました。

もう少しで帰国。
さあ日本に帰ったら何から始めよう!
どんな仕事に出会えるだろう?


そんな事を思っている時の連絡でした。


実はニュージーランドに入る前、担当マネージャーが、

「今ちょっと事務所が危ないんだよね。もしかすると、藤田君が帰国した時には事務所が無くなってるかもしれない。今回の仕事は個人で受けておいた方が良いと思う」

そう提案してくれて個人契約にしていました。


でも実際に連絡がくると、どこかで

「まさか事務所が無くなるって事はないだろう」

と思っていた自分に気付き、

「ほんとにそうなってしまったのか・・・」

という愕然とした思いがありました。

事務所とも良好な関係を築き上げてきたので、これからもここで長くやっていきたいと思っていた場所でした。

本当に、本当に残念で仕方がありませんでした・・・。


また人生双六のサイコロの目は「振り出しに戻る」のマスを当ててしまいました。


倉田プロを辞める時は自分で一から出直そうと考えた末。
個人事務所を辞める時もこのままでは良くないと自分で考えた末。

でも今回のはそうではない。
これからもこの事務所で頑張っていきたい、と信頼していた事務所でした。


帰国すると、事務所は本当に無くなっていて、それまでにやった映画の報酬も、演出・主演として映画脚本を舞台化した時の仕事の報酬も一円も入らず・・・。


ショックは大きかったなぁ・・・。


ニンニク注射を打ちながら寝ずに働いて、過労で救急車で運ばれるくらい働いても、結果はほとんどタダ働き。

ここまでくると、芸能界って、ほんとにギャランティが存在する世界なんだろうかと首をかしげるしかありません(笑)


でもそれよりも、自分の居場所だと思っていたところが無くなってしまった事への虚脱感がどうにもならないくらい大きかった・・・。


でもそんな中でも、担当マネージャーのお陰で「ラストサムライ」の方は個人で契約しておいたのは不幸中の幸いでした。
マネージャーには感謝しかありません。


日本に戻ってきて、さぁここからスタートだ、というタイミングでこんな風になってしまいましたが・・・。
正直なところ、この過酷な状況に対して、現実味が無かった様に記憶してます。

帰国した時は、「とにかく休みたい。とりあえず自由な時間を過ごしたい」ばかり考えていたからかもしれません。


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涙のカレーライス
ニュージーランドではほんとに食べ物に苦しみました。

舌に合う食事になかなか出会えない。
なのに高カロリーなので、少量を食べても体についてしまう。

日本って本当に良い国なんだなぁととても思いました。

日本の料理が食べたい・・・。

撮影も2ヶ月が過ぎ、そんな想いが募っていました。

そんなある日。

突然、共演者の方々から、

「明日のケータリングに入ることになったよ。俺たち日本人が中心で料理作るから楽しみにしてて」

との話。


え!!
そんな事あるの!?

とても驚きました。


出演している多くの役者は、アルバイトをしている人がほとんどです。

その中でも、飲食業の人はとても多いんです。

その人たちが現場のケータリングに入る!
これはワクワク以外の何物でもありません。


当日、午前の撮影を終えて食事を取るテントに戻ると・・・

色々な飾りが。そして、

「Japanese Food !!」

という垂れ幕まで(驚)
喜んだ海外スタッフが作成したそうです。


ワクワクして食事を待つと、出てきたのは、カレーライス。
見た目が家庭的な色のカレー。
レストランで出てくる様な感じではなく、家で作った感じなのがまた良い。


カレーライスをスプーンで掬って口に入れると・・・

何とも言葉に出来ないほどの濃厚で優しい味が口内に広がりました。



美味しい・・・
こんな美味しいもの食べたことがない・・・



現場に入ってからの2ヶ月半。
日本人と海外の人の感性が合わず、口論や諍いもありました。
怪我人が出て現場がもめた事もありました。
海外のやり方は、完全な格差社会です。
セリフがない役者は下。
我々バトルコアのメンバーは、エキストラ扱いを受ける事もあったりしました。
「イエローモンキー」と言われた事も、単に「イエロー」と呼ばれる事もありました。
ダイナマイトの爆破シーンの本番では、リハーサルの数倍のダイナマイトを仕込まれ、本当に危険な目にもあいました。
理由は「リアルが欲しい」。
「リアリティー」を求める演技こそ俺たちの仕事なのに?
怪我をしても何も思わない様な扱いをし、演技も必要ない「ただのリアル」が欲しいなら、死刑囚を連れてきてリハーサル無しでダイナマイトを仕掛けて本番やれば良い。
俺たちにも命がある。
痛みだって感じる。
俺たちは虫ケラではない。
俺たちは役者だ。
俺たちは表現者なんだぞ!

1ヶ月を過ぎたあたりから、帰国するバトルコアメンバーも多数出ました・・・。

私は残りました。

残った私たちの想いは、

「俺たちの今のあり方が今後の日本人俳優の礎になる。最後まで歯を食いしばって、行動、仕事で「日本人ここにあり」と爪痕を残そう。怪我をしても命を落としても」



そんな想いを耐えた2ヶ月半が、カレーライスの味が口に広がった瞬間、走馬灯の様に頭を廻るのでした。


あまりのカレーライスの美味しさに涙が流れてきました・・・。
涙はほほを伝ってカレーライスの上にポタ・・・ポタ・・・。


「藤田君、泣いてる?何泣いてんの〜(笑)」

と話しかけてきた隣の共演者の目も涙で濡れています。

ふと気付くと、回りの出演者の多くの人が泣きながら食べていました。


みんな口にするのは、

美味しい。美味しすぎる。
懐かしいなぁ。
あぁ、日本食だ。

と、鼻を啜りながら・・・。



普段、あまり雰囲気が良いとは言えない、各国のスタッフと日本人キャストたちが、みんな笑顔で手を取り合って美味しさに感動しています。

世界中の国から集まったスタッフやキャストが、「Japanese Food 」と書かれた幕の前で写真を取ったり、涙を流しています。


「エクセレント!」
「グレイト!」

歓喜の声が聞こえてきます。

調理場のニュージーランドスタッフも、調理場に入った日本人キャストの人たちに色々と教えてもらいながらメモを取っています。


全ての人がひとつになっていました。

一つの想いで満たされていました。


美味しい

というプラスの感情に。


「ラストサムライ」に参加した3ヶ月間の中で、一番強烈で、幸せな想い出です。


食べ物って、凄い。
感動って、国を超えて共有し合えるんだ。

あんなにいがみ合っていた別々の国同士の人間たち。
それが「美味しい」という嬉しさ、幸福感、そして感動を共有する事で分厚い壁があっという間に無くなってしまった。


核兵器よりも凄いじゃないか!
ミサイルを作るお金があったら、人を殺す道具にとてつもない金をかけるぐらいなら、世界中の人間に美味しいご飯を食べさせた方がいい。
こんなに笑顔に包まれていたら、人が人を殺そうなんて思うはずがない。

現にこうして、生まれも育ちも違うあらゆる国の人たちが、お互いに嫌悪感も抱いていたであろう人たちが、美味しい食べ物一つで笑い合って手を取り合っているじゃないか・・・。



関係者は皆、ある程度良い報酬を頂いている現場だったと思います。
私たちはギャランティの他にパーディアムと言って、1日の食事代まで支給されていました。
それだけで毎日の食事も、週末の娯楽も賄えました。
お金に困る人はいなかったんじゃないかと思います。
でも現場で会う人の多くには、いらだち、怒り、不満・・・負の感情が見えました。


しかしこの日ばかりは、皆声を出して笑っています。
色んな国の人たちが手を取り合ってカレーライスと写真を撮るなんて光景は滅多に見られるものではありません。


本当の人の生きる事の喜びがそこにはありました。
お金だけが必要なんじゃない。
お金を超える何かにこそ人は本当の幸福感を感じるのではないか?
生きる事の本質がそこにはありました。


本当の幸福感とは・・・?



食は文化です。
芝居も文化。

文化の重要性。必要性。

文化こそ、人に本当に必要で重要なものなんだ。

大切な事を心に刻みました。

文化に関わる人間として、この時ほど使命感を覚えた日はありません。


「今日のカレーライスくらい凄いものに辿り着けるかは分からない。食文化の凄さには追い付けないかもしれない。
でもいつか、観た人が自分自身の人生を重ね合わせ、本当の幸せな涙が流せる様な・・・、人が人を「殺そう」なんて思わなくなるような、戦争なんて世界から無くせる様な、そんな作品を自分で作りたい」


心から思いました。

この日の感動は、きっと一生忘れる事はないと思います。

今も、あのカレーライスの感動を求めて作品を作っているのかもしれません・・・。



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マニュアルは大事・・・だと思う
「ラストサムライ」撮影期間中、朝食と昼食はケータリングを頂いていました。

向こうの方々も日本人の事を思って味噌汁を出してくれたりしたのですが、出汁が入ってなくてただ味噌を入れたお湯だけのものだったり(笑)


その時まで私は知らなかったのですが、向こうには出汁という概念が無いみたいですね。


出される食事は、色付きはしっかりとしてるのに(緑とかピンクとか青とか、色のインパクトは相当なものです)、味がぼやけていたり、というか味がしなかったり・・・。

繊細な味付けに慣れている日本人としては食べ物に苦慮していました。


美味しいと思えるものが無さすぎて、バーガーキングのハンバーガーくらいしかまともに食べられなくなってました。

でもある時たまたま入ったパスタ屋さんで「美味しい」と思えるペスカトーレに会えました。
あまりにも美味しくて、数日後すぐに食べに行くと、味が全く違う・・・。


え!
酷い・・・。
これ・・・完全に違う味だよ・・・。



お店の人に数日前に食べたものと味が違い過ぎる、と話すと、

「その日の料理人は別だから」

という返答。

え?
それが答え?


作る人が違うと、味が違う。
それでよいものなの?


ほんとに驚きました。


美味しかった日の料理人が働いてる日を聞いて、再度来店。

すると、やっぱり美味しいペスカトーレ(笑)


なんなんだ〜!


美味しくて嬉しかったんですが、なんというか・・・、

これでいいものなの?
という、お店に対する違和感が凄い(笑)


料理人に声をかけて、

「あなたの作るペスカトーレが美味しいからまた来ますね」

と伝えました。

次に行った時はお店の閉店時間近くだったので、お客さんは私だけ。
お話をしながら料理を頂きました。

そんな流れで仲良くなって。


1度、料理人の方と、その友人が数人集まる食事会に呼ばれて参加した事がありました。

その時に「どうして料理人毎に味が違うのか」を質問してみました。


なんとマニュアルという概念が無いんだそうです(驚)
「おおよそこんな感じで」という大まかな作り方を教えられたら、あとは自己責任で、というのが普通。
だから、どこのお店でも、作る人によって味が違うのは、当たり前なんだそうです。


ビックリしました。


あまりの驚きで「嘘でしょ?ほんとなの?」と何度も聞き返してしまいました。


日本だと、「お店の味」に対してお客さんは足を運ぶから、料理人によって味が違うという事はよっぽどのことがない限り考えられない。

と話すと、とても驚いていました。


「我々日本人は、出てきた料理は、「作った人の味付け」というより、「お店の味付け」だと思うのね。
その味が美味しいと思えば、その同じ味を求めてまた来る。
その時に違っちゃうと残念に思っちゃうんだよ」


「そうなの?私たちはそんな風には考えないんだ」


「でも、同じお店で、同じ料理名で、同じ金額を取る訳でしょ。
俺は、このお店に初めて来た時にペスカトーレを食べて、美味しくて感動したんだ。
やっと美味しいと思える料理に出会えた〜と思ってね。
だからまた来たの。
でも、全く違うものが出てきた。
内心、「嘘だろ・・・」って思ってね。
ただ、どうしても食べたいからあなたの事を聞いて、また来たわけ」


「そういうのが良いんじゃない?」


「まあ・・・。面白いし、そのお陰でこうして仲良くなれたんだけども・・・」


「ね」


「うん・・・。いやいや。違う違う!あやうく納得するところだった!2回目来た時に「もういいや」って思ったら来なくなっちゃうじゃない!?」


「まあ、それはしょうがないよね」


「いやいや、しょうがないねって事じゃなくてね」



こんな感じで不思議なワールドに迷いこみながらまたまた文化の違いを感じる機会を頂きました(笑)


「いつか日本に行って料理を学んでみたいな・・・」

そう話していた彼は元気でやっているかなぁ。
帰国後、何度かメールのやり取りをしましたが、それっきり会えてないなぁ。

日本には来られたのかなぁ。



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スカイダイビング
ニュージーランドに滞在している間、一度だけスカイダイビングをしに行きました。

長年やってみたいと思っていたスカイダイビング。

ドキドキしながら、施設に向かいます。

行くと、まずは誓約書をかくところから始まります。

「事故が起きても全ては自己責任なので保証はありません」
という内容の誓約書です。

サインをし、私とタンデムをしてくれる方の紹介を受けました。

そのままセスナにむかうのですが・・・。

その方のあまりの服装のラフさにあっけにとられました。

短パンにビーチサンダル・・・。

え?

そんな、コンビニ行くみたいな普段着で!(驚)

驚きながらも、スカイダイビングが生活の中での当たり前なんだもんなぁ。
毎日毎日やってればそうなるのか。

と納得しました。


さて、いよいよ私を上空まで送ってくれるセスナに到着したのですが、今度はその、あまりのおんぼろさにあっけにとられました。

錆び付いていて、所々塗装が剥げています。
明らかに整備していない、と感じるその姿。


これ・・・大丈夫なのか・・・


不安になりました。


セスナに乗り込むのは6人。

私と、私のタンデム相手。
一緒に行った共演者、そのタンデムの相手。
我々二人を撮影してくれるカメラマン。
そして、セスナの操縦士。

計6人が乗り込んだセスナは、その重量に息苦しそうなエンジン音を出しながら出発しました。


外装も古いのですが、内装はもっと酷い(笑)

窓ガラスは外れて飛んでいってしまうのではないかと思うほど、風でガタガタ揺れて凄い音を出している。

色々な所を補強してあるのですが、補強の仕方はただガムテープを貼っているだけ。


え〜!
ガムテープ剥がれたらどうするの、これ!?
セスナがバラバラになっちゃうよ!


内心、不安だらけです。



その時、カメラマンが、

「カメラを手に固定するバンド忘れてきてしまったよ。ワッハッハ」
と操縦士とタンデムの方たちと笑っています。

おもむろに、

補強に使ってあるガムテープを剥がしました。


!!!


「これで固定すれば大丈夫だろう。ワッハッハ」

と笑っています。


おいーー!!!
部品とか外れて飛んでいったらどうするのー!

と内心、相当な突っ込みを入れてました。

なんて適当な人たちなんだ(驚)


こっちは初めてのスカイダイビングで、しかも「死んでも文句は言いません」という誓約書を書いてきたばかり。


その陽気さ、楽しげな姿に、

「日本では絶対に無いんだろうなぁ、この適当さ加減・・・」

とカルチャーショックを受けながら、人間性って、国柄で全然違うものなんだなと感心しました。

さて、自分はどっちの国で生きて行きたいかと問われれば、やはり日本を選びます。

海外に住むと、「日本人ってやっぱりいいなぁ。日本っていいなぁ」と感じる事が沢山あります。


白人に憧れ、白人の感性を取り入れようと四苦八苦し、依存を共存と勘違いしているる日本人がどんどん増え、「日本人とはなんぞや」と己に問いながら生きている人がほとんどいなくなってしまった日本。

そして、実際に白人の世界観に馴染む感性を持つ日本人の割合も増えてきていると感じます。


いいのかなぁ・・・。
日本人はこのままだと消滅してしまうんじゃないだろうか・・・。

不安は年々高まる一方です。


セスナを補強しているガムテープを剥ぎ取って、みんなで大笑いしている白人の根本的な明るさというかなんというか、その気質は日本人にはなかなか持ち得ない領域じゃないかと思います。


多分、日本人が最初に思うのは、

「忘れた。まずい!」

という、自分のミスに対する反省が頭に浮かぶ人が多いと思います。

そして、「初心者なのに、不安にさせちゃうかもしれない。申し訳ないなぁ」

という、人を気遣う人が多いのではないかと思います。



多くの白人の方々と関わる機会を持ちましたが、まずほとんどの人には、この、内省の意識や、他人の気持ちを想像する意識が低い(笑)

反省しないし、基本的に自分がミスをしたと思ってすらいない(笑)

なので、自分のミスから発生する、他の人への影響やその心情を汲み取る感覚みたいなものが非常に薄い。

もちろん全ての人がそうだ、と言ってる訳ではありません。
割合から引き出す平均値で見て思う事です。



この違いは、人としての在り方、民族として、お国柄としての全ての根本に繋がっているのかもしれないなと私は思います。


日本人は、他の国の感性とは一線を画していると私は思います。
だからこそ、日本人は日本人の気質を薄めて外国の感性に迎合するのではなく、日本人らしさをより学んでいった方がより良い国になるんじゃないかなぁと私は思います。


さてさて、そんなこんなで高い高い空の上まで上がりました。

いよいよ空に飛び出す高さまで上がると、セスナのエンジンが切られました。
プロペラの風圧で飛ばされたりしたら大変な事になりますから。


エンジン音やプロペラの音が無くなり、静寂が訪れました。

ガタガタ揺れて凄い音を出していた窓も静かになり、シーンとした音の中で窓の外を見ると、雲に隠れながらも見えるその圧倒的な広大な景色が広がっていました。


うわぁ・・・凄い・・・美しい・・・


肥沃な土地に広がる田園と牧場。
なだらかな稜線。
そして地球は海の星なんだなと改めて思わせるキラキラ光る美しい海の姿。

水平線の彼方を見ると、明らかに丸みを帯びています。


あぁそうか・・・
地球って、丸いんだったなぁ・・・
丸くて、全ては繋がっていて、国と国の区別なんて地球にとっては関係無くて・・・

あぁ・・・
俺たち人間は一つの星の上に住んでいる共同体なんだなぁ・・・


そう感じました。


いよいよ飛ぶ準備に入ります。
色々な説明を受け、タンデムで相手の方とバンドで繋がりました。

私は相手の方の体の前側にピッタリとくっつきます。
背中におぶさる形になると何も見えないので当然です。

くっついた状態でセスナの中を移動して、開いているドアからタラップに足を掛けます。

と言っても、そのタラップに足を掛けるのは当然私ではありません。

相手の方がタラップに足を掛ける訳です。

するとどうなるか・・・。

体の前側にくっついている私の体は足元が何も無い空中に浮いている状態になります。

これが・・・一番怖かった!!!

もし二人を繋げているバンドが切れたら、私はただ落ちます。

いやぁ、あの感覚は今でも忘れれない(笑)


カメラマンが合図をします。

「アーユーレディ?」

「イエス!」

「グッド!!5・・・4・・・」


カウントが始まりました。

3、2、1、そして0になったら飛ぶんだ!

緊張感が自分を覆っています。


「3・・・2・・・」

その瞬間に空に放り出されました。


「最後まで数えないんかい!!!」

強烈な突っ込みを心で入れたところで、その雰囲気を感じ取ったタンデムの相手が大笑いしています。


なんてふざけているんだー!
と思いながら、空に放り出されたその瞬間の感覚と相伴って、笑いが込み上げてきました。


「うおー!すげー!!」

でも、雨雲が濃くなっていて、さっきまで見えていた美しい景色が、雲のせいでうっすらとしか見えない。

もったいない〜!

と思いながらしばらく落下すると、風の抵抗が安定して、水の中でプカプカ浮かんでいるのと同じ感覚になります。

落ちているという感じが全く無くなって、浮かんでいる、という感じになるんです。

空気を握ったりすると、ゴムの塊をグニュグニュ握っている様な。

柔らかい空気のゴムに包まれて不思議な感覚です。


雨雲を突き抜けました・・・。


すると、目の前に、一気に景色が広がりました!

圧倒的な景色と、これまで見た事の無い視界の広さ。


空を飛んでる・・・。


「き、き、きもちいいーー!!!」

こんな感覚、経験した事がない。

「最高だーー!!!」

興奮はピークでした(笑)


そんな時、何か下から飛んできます。

そう。雨です。

ほんの少しですが、雨雲から雨が降っていました。

でも、雨の落下速度よりこちらの方が早い。
なので、雨が下から上がってくる。


「痛い痛い痛い(笑)」

下から降る不思議な雨に打たれながら大声で笑ってしまいました。


広大な美しい景色に包まれ、まるで海の中を漂う様な空の柔らかさ。

全身で感じながら初体験のスカイダイビングは終わりました。


最高・・・


これ以上の言葉はありません。

是非!
是非一度スカイダイビング、体験してみて下さい!


あぁ〜、もう一度飛びたい!!!



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日本人メインキャストの現場での居方
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「ラストサムライ」撮影時、日本人メインキャストの方々の現場での在り方には違いがありました。

サイレントサムライと呼ばれていた福本清三さんは、役柄は静かで全く喋らない役なのですが、実際はお話好きで、いったん会話が始まると止まらない、明るくて優しい方でした。

いつも笑顔で、役柄についてや、これからの映画界の事、殺陣の事など、楽しそうに話していました。

顔が迫力あるのに人柄が良いというのは反則ですね(笑)
しかも真面目で控えめという、日本人の日本人たる所以を地でいってる方でした。



渡辺謙さんは、とにかく圧倒的な存在感とリーダーシップ。
謙さん中心に現場が回っているんだ、というのは誰の目から見ても一目瞭然。
トム・クルーズさんも、謙さんを立てていて、先輩と後輩みたいな雰囲気に見えました。

本番撮影時、一度、カットの後に謙さんが私のところに来た時がありました。

斬られて倒れていた私のところに来て、
「今のアクション素晴らしかった」と手を出したのには驚きました。

すぐ近くにいたとはいえ、数百人が一斉に動いている現場。
自分がメインの殺陣をやっている時に回りもよく見ていて、時間があればこうして皆に声をかけて士気を高めているのか、と思うと頭が下がりました。

それにしても背が物凄く高く、鎧もつけているので体の厚みも半端ない訳で。

「大きい!」

という印象があまりにも強い。

背格好はもちろんですが、そのオーラの大きさも、誰もが感じ取っていたのではないかと思います。


真田広之さんは、お話する機会は一度も無かったのですが、私が子供の頃からアクション映画で見ていた方なので、一番楽しみな方でした。

真田さんは、とにかく刀さばきが美しい。
「斬る」刀の動線が明確。
鎧の隙間を縫って斬っているというのがハッキリ分かるほど、無駄のない刀の通り道と、その刀の扱い方。

そして、撮影が始まると、カットとカットの間は控え室のテントなどで休むのか普通
なのに、背もたれのない椅子に、背筋をピンと伸ばしてじっと座って集中している。

その背中が語る、役者としての在り方は、話をするよりも説得力のあるものでした。

「凄い人だ・・・」

心からそう思いました。



そして、トム・クルーズさん。
残念ながらトムさんともお話をする機会は無かったのですが、謙さんと話している姿や、スタッフ陣との関わり方を見ている印象では、「誠実」という言葉しか浮かばない在り方でした。

見ていると、若手キャストみたいな若々しさと、日本人みたいな礼儀正しさを持っていて、全く威張ったところがない事に驚きました。

オーラもそれほど出している訳ではなく、むしろ謙さんや真田さんを立てていて、一歩引いている様な雰囲気さえ感じました。

ハリウッドスターって、こんなに謙虚なの!?と思ってしまう様な方でした。

日本で公開される映画の前にインタビューがテレビで流れたりしますが、あの優しそうな雰囲気そのままの方でした。


殺陣の芯を担う、トムさん、謙さん、真田さんには、それぞれ、殺陣の前の儀式みたいなものがありました。

儀式というか、気合いなんですが。


トムさんは、
「うおーーー!!!わーーー!!!」

という何かしらの叫び声を上げ、自分を鼓舞します。



謙さんは、
「てめえら、やるぞー!ついてこい!!!」

という、出演者全体を鼓舞する大声を張り上げる。
すると周りの闘う人間たちも「おーー!!」とか「うおーー!!」という風に気合いを入れます。


真田さんは、
「皆さん、宜しくお願いします!!」

と大きな声でお願いをする(驚)

すると、周りは「はい!!!」と答える。



それぞれの個性で、どれも興味深いのですが、特に、

あれほどの凄まじい剣技を魅せる真田さんが、敬語で礼儀正しくお願いする姿と、その時には、現場の雰囲気が学校の先生と生徒みたいな感じになるのが私的には一番好きでした(笑)



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